サーファーズイヤーの治療や、サーフィン大会で検診をしていて
一番多い質問は、耳栓についてです。
サーフィンに適した耳栓について自身で使用したレビューを解説します。
耳栓を使うことの利点
1. 外耳道への寒冷水刺激を和らげ、サーファーズイヤー形成予防、進行を防ぐ効果がある。
2. サーファーズイヤー術後の再発予防効果もあると考えられている。
3. 冬期には外耳道が冷やされないことにより、体感的にも暖かく感じる。私見ですが。
4. ビッグウエーブで強烈に巻かれた際などに、鼓膜損傷を防げる可能性が高い。
(パイプラインのような強烈なチューブ波や、ウインドサーフィンでフォワードループを練習するとき、海面に耳を強く叩きつけられて、鼓膜損傷を生じることがある。)
耳栓を使うことの欠点
1. 聞こえにくくなる。
2. 耳を塞がれることが、わずらわしい。
3. 装用が面倒。
4. 購入しないといけない。失くすとがっかり。
ラインナップしてから、付け忘れているのを忘れて、がっかりする、というのもあります。
「耳栓は、1年中つけないといけないですか?」
とよく質問されます。
サーファーズイヤーは基本的に寒冷水、寒冷風により
外耳道が刺激されることで形成されると考えられているため
夏に水着でサーフィンできるような暑い時期には、必ずしも必要ではないと考えられます。
これまでに、病院のみならず、
サーフィン大会での検診も過去11年間で35イベントを超え、
2000人以上のサーファーのお耳を見せていただきました。
経験上、サーファーズイヤーのできやすさには、かなり個人差があると感じています。
それぞれのサーファーのお耳の状態や、サーフィンの頻度、地域、性別によって、アドバイスは変わってきます。
もし外耳道の炎症がある場合には、夏季にも装用したほうが良い場合があります。
日本国内においては、予防という観点からは、ウエットスーツを着るような時期(秋〜春くらい)には耳栓の使用が望ましいという理解でよいかと考えています。真冬にブーツ、グローブを必要とするような地域では、冬季の耳栓の使用をおすすめします。
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MACK'S Earplugs
amazonでは 800円程度 6ペア入り
安くてイイ! 通常使用ならこれで十分。
お手頃なので、冬場のサーフィン用に常備をおすすめします。
メーカーHPでは、シリコン製の耳栓でアメリカで一番売れている商品とのこと。
メーカー公表では ノイズリダクションレベルは22デシベル。簡単にいうと、耳栓をつけたときに22デシベル分聞こえにくくなるということ。
イメージ的には耳元で大声で怒鳴られても、この耳栓をしていれば大きな声くらいの音に感じられるということです。公表されているデータでは、2000Hz以上の比較的高い音で、遮音効果が高いとされています。
高音域が聞こえにくくなると、子音(あ、い、う、え、お以外のこと)の区別がつきにくくなるので、その結果、人の話していることがわかりにくい、という印象になります。
図解:Test Frequency in HZ :テストされた周波数 音の高さのことです。
Mean Attenuation in dB: 耳栓によってどのくらい音が減衰(聴こえにくく)されるかの指標、dBは音の物理量(音の大きさ)をあらわす単位です。Standard Deviation は 簡単にいうと、データのばらつき具合のことです。
MACK'S Earplugsの使用感:
耳の形に合わせて使用できるので、フィット感がよく、ちゃんと着ければ全く水が入ってきません。 実際に使ってみると、粘着力がありますので、耳の穴と耳介にフィットさせるよう装着すると、サーフィン中に相当ハードは巻かれ方をしても、滅多に外れることはありません。
外れて失くしても、極端に高価でないので、消耗品と割り切って考えやすいかと思います。耳の奥に残ったりすると自分で取り出すのが難しいことがあるので、ちいさく切って使用するのは控えたほうがいいと思います。
粘着力がありますので、耳の穴と耳介にフィットさせるように装着すると、極端なビッグウエーブでない限り、通常のサーフィンで外れることは滅多にありません。
粘土状タイプの耳栓は各社からいろいろ出ていますが、使用感はどれも似たようなものです。
耐久性は、「失くすまで」あるいは「ビーチで落として砂まみれになるまで」という感じで、1,2回使っただけでは、目立った劣化はなく、丁寧に扱えば10セッション以上は使えます。皮脂などつくことがあり、少しずつ汚れてくるので粘着力が弱い感じになってきたら交換という感じです。ビーチに落として、転がったりすると砂まみれになって、除去は難しいので、新しいものに交換が必要になります。
ある程度の聴こえにくさがありますが、水が入ってこないようにするシール力とコストパフォーカンスは最高です。理想的には、こういうタイプの耳栓で、聴こえのよい素材のものがあればベストかなと思います。
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SURF EARS 3.0
定価7560円
Creature of Leisure (アジア/オーストラリア圏)
高いけど、音の聞こえはバッチリ。ちょっと水が入ってくることもあり。
音は伝えて、水は入れない。をコンセプトにサーフィン向けに開発された耳栓。
3.0にバージョンアップされ、さらに柔らかい素材になって、装着時の痛みや違和感が少なくなったとのこと。緑は右耳、赤は左耳用に色分けされ、イヤーピースが大きさ別に4種類、ウイングも2種類の大きさが付属します。前モデルで一時キッズ用が販売されましたが、統合されたことになります。
Surfearsは片方の耳栓につき4つのパーツと、左右とつなぐリーシュコードで構成されています。
フィルム状のアコースティック メッシュにより、出来る限り音を遮らず、水の侵入を阻止する構造です。紛失防止のリーシュコードをつけることができます。キャリングケースも附属。
2度の世界チャンピオンに輝いたトム キャロルをアンバサダーに迎えて、
販促プロモーションを積極的に行っています。
Surfearsの使用感:確かにサーフィン中も会話領域の音の聞こえにくさというものは、ほとんど感じられません。シリコンタイプの耳栓と比較するとややフィット感には劣るので、全く水が入らないというほどシール力は高くありません。ある程度のフィット感があるので外耳道に水がたまって不快な程ではありません。
図解:SurfEarsではほとんど聴こえにくくならない、という聴力検査の結果を示したものです。これについては、今後、自身でも他の耳栓と比較して 追試験してみたいと思うのですが、このデータ通りだとすると、やや高め〜高い音以外は、ほぼよどみなく聴こえるということになります。
トム キャロル自身もサーファーズイヤーで両耳の手術を経験されています。
2015.2月 パシフィコ横浜で行われたインタースタイル会場で
サーファーズイヤー検診を行ったときの模様。
トム キャロルはSUURFEARS2(一つ前のモデル)のプロモーションで来日していました。
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Docs pro plug
XS-S-M-Lの4サイズ展開
2400円前後
耳にピッタリフィットする人なら良し。
比較的大きな成形タイプの耳栓。大きいぶん、耳の穴に入り込んだりはしませんが、
フイット感は個人差が大きく、水が入ってくるのをきっちり防ぐというコンセプトではありません。
むしろ隙間からゆっくりと水が入ってきて、急激な圧変化を起こさないので、
ネット上のユーザレビューでは、ダイビングの際に耳抜きがしやすいとの意見を多く見かけます。
Docs Pro Plugの使用感:外耳道にある程度の量の水がたまり、チャポチャポする感じでした。ダイビングでは問題にならないと思いますが、水が外耳道に入ってきても構わないという状況に向いている耳栓かと思います。音を通しやすいように外耳道方向に小さな穴が空いています。この小さな穴からゆっくり水が入るので圧変化がゆっくりになって、ダイビング時の耳抜きがしやすいとの記載をネット上で見かけますが、その説明が本当なのかよくわかりません。紛失防止のリーシュコード付き。
まとめ
私の意見では 総評は以下のようになります。
フィット感と水の入りにくさ: ①Mack’s >② Surf Ears 3.0 >③ Docs Proplug
音の聞こえやすさ : ①Surf Ears 3.0> ②Mack’s > ③Docs Proplug
経済性 : ①Mack’s > ②Docs Proplug >③ Surf Ears 3.0
どれを使っても無いよりはずっと良いです。真冬のサーフィンには着用をおすすめします。