サーファーズイヤー / 早くキレイに治る手術
この記事はサーファーズイヤーの手術経験数650耳以上(2024.9月)の専門医:中西 悠 が執筆しています。
私自身、半生を海で過ごし、サーファーズイヤーの治療は「ライフワーク」と思っています。
耳の中からの切開で、サーフィン復帰が早い手術法の開発した医師の下で技術を学びました。(下記)
パイオニア譲りの技術と道具で カリフォルニアメイドの治療をご提案いたします。
同様の治療を提案する施設はごく少ないため、日本全国、海外から治療のために来院いただいております。
もう、ここまででピンと来たサーファーの方は ページ下端の連絡先までお電話ください。
サーファーズイヤーは外耳道にできた骨の隆起のことです。長年の寒冷水、冷風刺激が原因で外耳道の骨増殖が起こると考えられています。
正式には外耳道外骨腫といいます。よく誤解されていますが、軟骨ではありません。「骨」の疾患です。
サーファーに多いため、サーファーズイヤーの名称で知られますが、カヤッカーやウインドサーファーなど他のマリンスポーツや、海女さんなど職業ダイバーにも認められます。
いつ手術が必要になるか
軽度〜中等度のサーファーズイヤーがあっても、無症状であれば、基本的に手術は行いません。
外耳道狭窄が高度になったせいで、水が抜けが悪い、外耳道炎を繰り返す、よく耳垢が詰まる、痛み、難聴などの症状が出てくれば手術を考えます。
サーファーズイヤーによって外耳道が90%以上狭くなっても、ほんの少し隙間があいていれば聴力は正常なことが多いです。
難聴を生じるケースは、外耳道の皮膚炎や、耳垢が詰まってしまって除去できないような場合が多いです。このようなケースはお耳の掃除で聴こえは改善することがあります。
「以前にサーファーズイヤーがあったけれど、小さくなった」といわれる方にお会いすることがありますが、このようなケースは一時的に外耳道の皮膚が腫れていただけで、サーファーズイヤーの病変以上に、見かけ上の狭さが強くなっていた可能性があります。
マリンスポーツ時に耳栓を使用することでも進行をある程度防ぐ効果があるとされていますが、一度隆起した骨が小さくなることはないと考えられています。
下記の図は、「今日の耳鼻咽喉科診療 第4版 【サーファーズイヤー】のページを執筆した際の付図です。
なぜ早く治せるのか
筆者は、サーファーズイヤーの手術は、耳の中だけの小さな切開で、ドリルを一切使わず、極小のノミと消音ハンマーを用いて行います。
この方法はドリルを使用する方法に比較して、外耳道の皮膚を温存しやすいです。直近6年の420耳以上の手術ではすべてのケースで外耳道皮膚を95%以上程度温存できています。切開したところの傷のみで、外耳道の皮膚を全て温存できるケースも多いです。ドリルによる騒音も少ないので、手術後の聞こえの神経への負担が少なく、難聴や耳鳴りの発生率が低いとの報告があります。
外耳道皮膚を温存できるので、術後の痛みがほとんど無い上に、治癒が早いのが特徴です。
術後2〜3W後にはサーフィン復帰可能、遠方からの短期滞在手術の依頼にも対応できます。
この手術法はカリフォルニアのサンタクルーズのDr.Douglasによって開発されました。
Douglas先生は、私が手術法の教えを請いにいった2013年当時、すでに1000例以上のサーファーズイヤーを手術経験がありました。
この難しい病態の治療に独自の工夫を重ね、手術器械まで自分で作ってしまうほど、職人気質な方です。
筆者はDouglas先生から手術法の手ほどきを受け、帰国前日に「これで日本のサーファーを治療しなさい」と独自に開発された手術機械を頂きました。
この手術法には難点が一つあります。
狭い耳の穴の中から行うので、視野が悪く、操作スペースが極端に狭いため、習熟するまでに相当な時間がかかることです。
しかし、慣れた医師が行えば、鼓膜ギリギリの病変までしっかりと除去して、なおかつ早期のサーフィン復帰が可能となります。
現在でも、サーファーズイヤーに限らず耳の手術は、耳の後ろを切って、ドリルで骨削除するクラシックな方法をとる施設が多いです。
しかし、皮膚温存が難しく、治癒に至るまでの時間も長い上に、ドリルでは深部の病変をキレイに除去しにくいです。
これは私個人の意見ですが、サーファーズイヤーの手術に限れば、耳後切開でドリルを用いる方法を選ぶべき理由は見当たらないと考えています。
しかしながら、サーファーズイヤーの手術症例は国内ではまだ少なく、耳の中から手術を行うための手術器械を持つ施設は少ないため、現在も行われています。
耳の手術では近年内視鏡も導入されていますが、極端に狭いサーファーズイヤーの場合には、操作スペースが無いため上手くいきません。
キレイに仕上がるのなら、手術の方法はいずれでも良いと思いますが、サーファーは両側の手術が必要なケースも多いので、
その点でも現時点では、耳内切開、ノミを使用した方法が望ましいです。
なぜ 水抜けが良くなるのか
①外耳道の軟骨部(外耳道の外側)から外耳道を拡大します。耳の後ろの切開では通常アプローチ困難な部位です。
②鼓膜ギリギリにあるサーファーズイヤー病変まで除去します。(筆者が中耳手術も専門としていることから可能となります。)
横になったときと、波待ちしているときの2姿勢で、水の流れを妨げないよう、外耳道にコンケーブを入れるイメージでシェイプします。
サーファーならわかると思いますが、ダブルコンケーブですね。
下の画像、上段が術前、下段が術後の状態です。
術後は鼓膜から外側にかけて、なだらかなラインで一切盛り上がりがなく水抜けのよいカタチに整えられています。
ココまでしなくても狭さは解消されますが、術後のサーフィンが快適になるように、サーファー向けに本気のシェイピングを施します。
鼓膜に近いところギリギリまで処理しますので、大変繊細で集中力を要する手技です。
限られた時間内に、皮膚の守りつつ、耳の中からこの手技を行うにはサーフィンに特別な思い入れがないと難しいのではないかと思います。
初回の手術で、しっかりと深部の病変を除去できていないため、術後数年で再発、再狭窄というケースがあり、当院にもよくご相談があります。
手術を受けられる方は、術後もサーフィンを継続される方ばかりですので、初回の手術時に、鼓膜の近くの処理が難しい病変もしっかり除去することが重要です。
予防
耳栓です。日本国内の水温では、フルスーツを着るような季節、つまり秋から春までは耳栓の使用が勧められます。
よくある質問
●いつから海に入れますか?
術後2〜3週間後くらいです。
●入院期間はどれくらいですか。
1泊2日です。 遠方からお越しの方は、入院の前、後にビジネスホテル宿泊されることが多いです。
●手術の麻酔法は?
当院では基本的にサーファーズイヤーは全身麻酔で手術しています。鼓膜に近い部分の病変をしっかり除去するためと、両側の手術をしっかりおこなうためには2時間程度かかりますので、こちらのほうが安全なためです。局所麻酔の手術も可能ですので、ご希望の方はお問い合わせください。
●手術までの手続きはオンラインで相談できますか?
ご案内可能です。このサイトのお問い合わせフォームよりご連絡いただくか、はるか耳鼻咽喉科にお電話ください。折返しご連絡いたします。
●手術時間はどれくらいですか?
片耳でおよそ1時間〜1時間半くらいです。両耳で2時間〜3時間というところです。当院に来られるサーファーは両側90%以上の高度狭窄や、外耳道の弯曲の強い難症例が多いことが特徴ですが、この程度の所用時間で済んでいるのは短いほうかと思います。
●手術の危険性、合併症は?
感染や出血など、のほかサーファーズイヤーの手術に特有のものとして、鼓膜穿孔や顔面神経麻痺が挙げられます。当方ではノミを用いる安全な手術法により、これまで副損傷を認めたケースがありません。
⚫️他院での手術後の再手術例はありますか?
他院で行われた手術後に鼓膜穿孔になってしまったケースの再手術や、初回の手術が不十分で病変が残ってしまい早期に症状が再燃したしまったケースの再手術は珍しくありません。
●治療の費用はいくらくらいですか?
保険治療の適応になります。限度額認定制度も適応されるのですが、年収などにより自己負担額が異なります。詳しくは患者さんの状況を伺い、医院よりご案内いたします。通常10数万円になる方が多いです。
●遠方からの治療の場合、近くにおすすめのホテルはありますか?
ルートイン和泉 をご利用いただくサーファーが多いです。目の前の巨大なショッピングモールがあり、手術前後過ごされる方も多いです。
当院で治療を受けた方のクチコミをご参考ください。
生の声をご覧いただき、大切なお耳の手術をお任せいただけるかどうか。次はあなたがご評価ください。
私自身、半生を海で過ごし、サーファーズイヤーの治療は「ライフワーク」と思っています。
自身のサーフィン人生をかける覚悟で、全力で取り組んでおります。
ありがたいことに、全国から多くのサーファーに治療をお任せいただき、貴重な経験を重ねています。
サーフィンの調子が良くなるように、と思いをこめてお耳をシェイプして整えます。
お会いできることを楽しみにしています。
大阪 和泉市の耳鼻咽喉科
電話 0725-50-3333
耳鼻咽喉科専門医:中西 悠
手術は下記施設で行います。
耳鼻咽喉科サージクリニック
老木医院
〒594-0061 大阪府和泉市弥生町2-14-13
Tel: 0725-47-3113
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